『禅マインド ビギナーズ・マインド』を読んで、自分なりの要点・感じたことを書いていきます。
※僕は評論家ではないので本を評価することはしません。
・自分自身を律し、落ち着ける力を身に付けたい
・スティーブ・ジョブズの愛読書に触れてみたい
『禅マインド ビギナーズ・マインド』要点・感想
- 初心を保つことは難しいが、これこそが禅において最も大切なポイントである
- 自分自身を律する時、最も良くないことは「無視すること」であり、次に「コントロールしようとすること」である
- 生きていく上で絶対に必要なのは「無」を信じることである
初心を保つことは難しいが、これこそが禅において最も大切なポイントである
禅の修行は難しいと言われるが、それは坐禅を組むことが大変だからでも、悟りを得ることが難しいからでもない。
私たちの心と修行とを純粋な、混じりけのない状態にしておくことが難しいからである。何かを求める心が強くなりすぎると、心は満ち足りない状態に陥る。
この状態になると「嘘をついてはいけない」「倫理的に反することをしてはいけない」などといった仏の教えに背いてしまう。もし、あなたが初心を持ち、心が満たされた状態ならば、このような教えは自然と守られる。
常に初心を保つことは難しいものだが、これこそ禅において最も大切なポイントである。
「初心忘るべからず」という言葉があります。
これは室町時代の能の大成者である世阿弥(ぜあみ)の言葉ですが、まさに禅において最も大切な教えを凝縮した金言であると言えます。
自分自身を律する時、最も良くないことは「無視すること」であり、次に「コントロールしようとすること」である
あなたが羊や牛をコントロールするとしたら、どんな方法をとるだろうか。
最善の方法は、広々とした草地に放つことだ。
人についても同じことがいえる。
好きなことをさせておいて、それを見守るのだ。
一番良くないのは無視することで、次によくないのはコントロールしようとすることである。これは、自分自身をコントロールするときにも当てはまる。
坐禅で落ち着きを得たいならば、心に浮かび上がるイメージに邪魔をされないことだ。
イメージは浮かんでは消えていくが、それをそのままにしておく。
本書の中では具体的な坐禅の組み方の指南もされています。
それを実際にやってみると、全然イメージ通りにできないことが実感できます。
それに合わせていろいろな感情が沸くのですが、坐禅を組むとそれらがフラッシュバックするかのように頭の中をグルグルと駆け巡るのです。
これでもか!というほど多種多様な場面場面が頭の中に現れては消え、現れては消えを繰り返します。
それでできるなら苦労はせんわ!と思いますが、手持ち邪念が少ない方はいけるのかもしれません。
僕は邪念だらけなので、まだまだ修行が必要そうです。
生きていく上で絶対に必要なのは「無」を信じることである
私たちが生きていく上で絶対に必要なことは、無を信じるということだ。
色や形を持たない物、または形や色が現れる前に存在しているものを信じなければならない。
見るものすべてを無から現れたものとして受け入れられるように準備をし、特定の色や形を持った現象にはその理由があると知った時、落ち着きを得ることができるだろう。無を信じることは、誰にとっても必要不可欠だ。
無とは虚無という意味ではない。
なにかがある。
そのなにかは、特定の形を取ろうとして常に待機している。
その働きには、規則、理論、あるいは真実がある。
読まなければ頭の中にイメージとして取り込めなかったのです。
しかし「虚無ではなく、なにかがある」とも書かれている。
さすが禅宗という宗教・哲学に基づく教本なだけはありますね。
そういったところを自分なりに腑に落ちるかたちで解釈することができるのもまた本書のおもしろさのひとつです。
色々考えた結果、沖縄出身の僕なりの「無を信じる」はこの言葉だと感じました。
それを信じる=「自分の理想」となるかどうかはこれまでの自分自身のやってきたことに依存する。
それを受け入れられるように準備(最大限の努力)することが重要なのである。
『禅マインド ビギナーズ・マインド』読み終えて
本書を通して一貫しているなと感じるのは「何もかもを受け入れる心を形成する」ことが重要なのだという考えです。
余計なことを考えず、ありのままをすべて受け入れる。
しかし、ありのままをすべて受け入れるというのはとても怖いことです。
得体の知れないものが突如現れたとき、人は体にグッと力を入れて身構えるでしょう。
この状態って実はものすごくストレスがかかっている状態なんですよね。
僕らは日常生活を送っている中で、ありとあらゆる場面に遭遇します。
同じ日なんて1日だってないように、起こることも毎日違うのです。
これは、毎日得体の知れないことに遭遇しているということであり、その場面場面で身構えちゃう僕たちはきっと物凄いストレスに晒されているのでしょう。
禅宗の哲学、坐禅によってそんなストレスから身体を開放してあげられる心を形成できるのかもしれません。
『禅マインド ビギナーズ・マインド』著者:鈴木 俊隆さんとスティーブ・ジョブズについて
本書の著者である鈴木 俊隆(すずき しゅんりゅう)さんは、昭和にご活躍された曹洞宗の僧侶です。
55歳でアメリカに渡り、禅を広めました。
欧州では有名な日本人のひとりに数えられています。
本書は、そんな鈴木 俊隆さんの著書(zen mind beginner’s mind)を日本語訳にしたものですが、英語版の方はApple創業者のスティーブ・ジョブズの愛読書であったようです。
(ジョブズの自伝でも「影響を受けた本」として紹介されているそうです)
時代を作った経営者ですから、毎日遭遇することもストレスフルだったでしょう。
それでも身体を保ち、あらゆる革新的な製品を世に送りだせたのも禅のおかげだったのかもしれません。